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「二十四の瞳」〜このキャスティングで連ドラで見たかった!〜
category: 邦画
JUGEMテーマ:映画 

TV ☆☆☆☆☆

昭和三年。新任の女教師として、小豆島の岬の分校へ赴任した大石先生は、十二人の一年生の担任となる。
洋服を着、自転車で通う大石先生は島の住民からはハイカラだの何だの白い目で見られることも多かったが、子供たちに歌を教え、懸命にいい先生になろうとする。
ある日、子供たちの掘った落とし穴に落ちた大石先生はアキレス腱を切り学校を休むことに。子供たちは大石先生会いたさに長い道のりを歩き、親たちもようやく大石先生を受け入れる。しかし、怪我のこともあり、大石先生は本校へと転任してしまう。
五年生になった子供たちは大石先生と再会するが、卒業を前に奉公へ出る少女や、家が貧しく修学旅行に行けない子もいる。子供たちは卒業するが、大石先生は軍国主義の色濃くなってきた教育に嫌気が差し、教師を辞めてしまう。
やがて戦争が起き、男の子たちは戦地へ。大石先生の夫も徴兵される。
終戦を迎えるが、大石先生の夫は戦死。母親も病死した上、末娘も死んでしまう。人手不足と、教師として働く教え子の勧めで再び分校の教壇に立つ大石先生。教え子には、かつての子供たちの子供や妹がいた。
十二人のうち、生き残った生徒が同窓会を開いてくれる。病で亡くなった子、戦争で生きて帰ったものの失明した者……。
失明した磯吉は、かつて大石先生と撮った写真を手で撫でながら、「これだけはよう見える」と呟く。
大石先生は、教え子たちから送られた自転車に跨り、今日もまた岬の分校へと通うのであった。


とんでもなく有名な作品である。
高峰秀子という人は、実際は蓮っ葉な喋り方で男前な性格で、しかし親戚一同の面倒を見ていたため、いつも貧しかったという。その辺の喋り方やなんかは、池部良のエッセイに度々出てくるが、それを読んでいると、どうしてもこの「大石先生」とは結びつかないで困る。
その彼女が三十歳のときの作品だ。(ちなみに成長した磯吉を演じているのは、田村高広で四歳下。「恍惚の人」でよもや夫婦を演じようとは!)
気は強いが決して蓮っ葉ではなく、芯があるがどこか天然。私が見た大石先生は、そういう人だ。
既にそういう時代であるにも関わらず「男の子は兵隊になってしまうからつまらない」と親へ言ったり、共産主義者の本を教科書代わりに使ってしまったり、校長先生から見れば迂闊すぎる。
だがどちらも、彼女が子供たちのことを考えればこその行動で、一年生を受け持つならこういう先生がいいな、と思えるほどに正直で真剣だ。
生徒が宝塚に行きたいと訴えれば、「どちらがいいか分からない。でも、あなたの幸せを願っている」と答え、死に行く生徒には「本当に可哀相に。でも自分だけが不幸だなんて思わないでね」と、ちょっと今なら出ないであろうセリフを吐く。特に後者は、もう少しカッコつけてもいいはずだ。つくづく正直な人である。
だからこそ、耐え切れずに一度は教師をやめたのだろうけど。

一年生の子役たちは抜群に可愛い。大石先生に会いに行こう、近いから大丈夫、と十二人で会いに行く短絡さは子供らしく呆れるやら可愛いやらで、おそらく彼らにとって一生の思い出になったろう。
高峰秀子の死去後に、かつての子供たちが会って話をする番組があったが、多分これは五年生になってからの子たちだろう。出番はこっちの方が多いから。一年生の子と五年生の子は兄弟だそうで、実際みんなよく似ている。田村高広の磯吉くんも、なるほど面影がある。
今見ると、五年生で大石先生と再会した子供たちの姿を見たかったとか、戦争のシーンがもう少し欲しかったという気はする。しかし、製作した年が1954年で戦後九年ということを考えると、後者に関しては必要なかったのだろう。ただ美しい光景と、変わり行く人の姿のみで。
戦争の悲惨さというより、人の世の無常さとそれでも生きていく人の強さを垣間見るような作品である。
象徴的なのが磯吉が光を失い「もう死んでしまいたい」と言っていたのに、大石先生に会うとそんな素振りすら見せないところだ。
そして大石先生も、雨の中を懸命に学校に通う。
「七つの子」と「仰げば尊し」が頭から離れない作品。
それにしても、大石先生の夫が天本英世なのにはびっくりした……。


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